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2021年07月30日

消費者行政で規制強化の動き活発に!(No.35)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 ここ数カ月は、新型コロナウイルスのことばかりに頭が行きがちですが、そんな中、消費者庁など行政当局は着々と取り組みを進めています。

関連して最近、消費者行政で気になる動きが三つありましたので、順を追ってお伝えしましょう。

[1]特商法と景表法でダブル処分

 2020年3~4月にかけて、埼玉県が異例の行政処分をおこないました。

同県はまず3月31日に、サプリメントの通信販売をおこなっていたN社に誇大広告があったとして、景表法(景品表示法)に基づく措置命令を出しました。

そしてその翌日(4月1日)には、特商法(特定商取引法)に基づき、3カ月間の業務停止命令を出したのです。

 同じ会社に対して2日続けて、違う法律で処分を出すというのは極めて異例です。
ただ、法律上、一つの法律で処分を受けたからといって、別の法律の適用を妨げられるわけではありません。

ともあれこれは、消費者庁だけでなく、地方自治体でも「執行強化」「厳罰化」が進んでいることを端的に示す事例といえるでしょう。

 「たった一つの違反」が、二度も三度も処分を受ける〝大事(おおごと)〟になってしまうかもしれません。
そんな思いで、襟をただしてビジネスに取り組んでいきましょう。

[2]消費者庁が措置命令を初の取り消し

 消費者庁は2020年5月15日、景表法に基づき19年3月におこなった、サプリメント販売会社Y社に対する措置命令を取り消すと発表しました。

消費者庁が措置命令を取り消すのは今回が初めてで、処分の取り消し自体、極めて異例です。

 取り消しは、「違反表示を行っていたと認定した期間に誤りがあったから」ということです。

誤りをそのまま放置して、事業者に訴えられれば、消費者庁が訴訟に負ける可能性も十分にありましたから、「防衛のためやむなく」という側面があったのでしょう。

 ただ、消費者庁が今後、表示期間を認定し直し、改めて処分を出し直す可能性は残っています。

そんなことになれば、事業者にとっては、再び社会的制裁を受けることになり、泣きっ面に蜂といえなくもありません。

[3]特商法改正強化の議論が進展

 現在、特商法改正の議論が消費者庁の検討会で進展しており、2020年5月19日には、第3回会合が、ウェブ会議方式で実施されました。

預託商法や通販の「勝手に定期購入」が、規制のメーンターゲットとみられており、現状は、預託商法の規制方法の検討が議論の中心となっています。

ただ〝おまけ〟的に連鎖販売や訪販関連の規制が強化される可能性も十分にあります。

特に、若年者・高齢者に対する〝付け込み型〟勧誘や、消費者に借金をさせて販売する手法などに対する規制は、強化される可能性がありそうです。

引き続き議論の進展を注視していきましょう。

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