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2022年01月06日

訪販・連鎖販売への業務停止命令が減少!(No.40)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

※2021年7月に書かれた記事です。

 今年度上半期(4~9月)の特定商取引法に基づく、国による業務停止命令件数が発表されました。
前年同期比5件増の17件です。

 ただ、中身をみると、質的に大きく変化しています。

前年同期の処分では訪問販売・連鎖販売取引に対する業務停止命令が9件を占めていましたが、今年度上半期は2件にとどまりました。

一方、前年同期は0件だった通信販売への処分が、一気に14件に増加しています。

通販への処分が一挙増大!

 通販の処分件数が増えたのは、4月に、偽ブランド品をアマゾンに出品していたとして13事業者に対する一斉処分をおこなったことが大きく影響しました。

 それにしても昨年度の下半期から、通販への処分が顕著に増えてきています。

筆者は、この傾向について、特商法の処分がようやく適正におこなわれるようになってきたという感想を持っています。

 特商法はそもそも、以下の7業態を規制する法律です。

[1]訪問販売、
[2]通信販売、
[3]電話勧誘販売(電話で契約を取る販売方法)、
[4]連鎖販売取引(ネットワークビジネス)、
[5]特定継続的役務提供(エステなど)、
[6]業務提供誘引販売取引(内職商法など)、
[7]訪問購入。

 しかし、これまでの処分は、[1]の訪問販売、[3]の電話勧誘販売、[4]の連鎖販売取引の3業態に集中する傾向がありました。

そこで、消費生活相談データベース(PIO―NET)に集計された、3業態の過去5年の相談件数の年平均をみると、訪問販売(年間8万100件)、マルチ取引(連鎖的な販売業態全般、同1万1400件)、電話勧誘販売(同6万4800件)となっています。

 これに対し通信販売はなんと同31万4700件で、3業態に比べ桁違いに相談件数が多いのです。

定期購入通販は規制強化へ

 3業態については、規制執行が厳しくおこなわれてきたこともあり、一定の健全化が進んできたと考えられます。

一方で、規制執行が従来あまり実施されてこなかった通販は、「やりたい放題」がまかり通る状況になっています。

 通販では、少額のサンプル品の購入だけと勘違いをさせながら定期購入契約を結ばせる「勝手に定期購入」も問題視されています。

通販の定期購入関連の相談件数は年々増加しており、昨年度には4万4000件を超えるに至っています。

 現在、消費者庁では、定期購入形式の通販に対する規制強化の準備が進められています。

これまでのように、イメージだけで、訪販や連鎖販売取引の規制が強化されることがないよう、適切な法執行を願いたいものです。

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