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2022年02月03日

外資系中堅NB企業に9カ月の取引停止命令!(No.41)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2020年11月20日に、ARIIX Japan(アリックス・ジャパン)という、年商数十億円規模の中堅外資系ネットワークビジネス(NB)主宰会社が、消費者庁から特定商取引法(特商法)に基づき9ヵ月間もの長期取引停止命令を受けました。

 取引停止となれば新規登録はできず、会員にも会社にも死活問題ですから、今回はこの件を取り上げてみましょう。

概要書面の不交付は論外

 この会社は、健康食品や化粧品、空気清浄機をNBで販売していました。

今回の処分で認定された違反行為は、
[1]氏名等の明示義務違反、
[2]書面不交付、
[3]迷惑勧誘
――の3点です。

 [2]の書面不交付は論外です。
特商法では、連鎖販売取引の契約を結ぶまでに、連鎖販売業の概要を記載した書面(概要書面)を交付しなければならないと定めていますが、アリックスの場合、交付していないケースがあったということです。

紙1枚の話かと思われるかもしれませんが、これは立派な違反行為です。
絶対に渡し忘れのないようにしましょう。

 次は、[1]の氏名等明示義務違反です。

アリックスのケースでは、「副業してくれる方探してます」「聞いて貰いたい話がある」「いい話があるから会いたい」「副業をやっているので、そのことについて話したい」などとだけ告げて、相手を呼び出した行為が違反に問われました。

 特商法では、勧誘に先立って「自らの氏名」「会社名」「勧誘目的と商品の種類」を先方に伝えないといけないと定めています。

 たとえば喫茶店などに呼び出して勧誘をするのならば、喫茶店で会うアポをとる段階で、それらを告知しなければなりません。
これも十分気をつけましょう。

認定された迷惑勧誘行為

 [3]の迷惑勧誘は、「相手に迷惑を覚えさせる仕方での勧誘」のことを指します。
特商法ではこれを、厳しく禁じています。

 迷惑勧誘は、勧誘する側とされる側の見解の相違が最も生じやすいところです。

「あんなに熱心に話を聞いてくれていたのに、あとで迷惑と言われるなんて......」
と勧誘者側が嘆くケースはよくあります。

いくら嘆いても、相手が迷惑だと主張している以上、違反は違反ということになってしまいます。

 今回の処分事例では、勧誘された側が、再三にわたって断っているのにもかかわらず2~3時間にわたって勧誘し続けたケースなどが、迷惑勧誘と認定されました。

整理すると、
[1]長時間の勧誘(2時間以上)、
[2]深夜・早朝(夜9時~朝8時)の勧誘、
[3]執拗・強引な勧誘等は、
迷惑勧誘と認定されやすいので、くれぐれも注意しましょう。

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