2025年10月01日
新コンプライアンスシリーズ(Vol.01)
新コンプライアンスシリーズ
危ないよ!それ知らないと
流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)
※2024年5月号に掲載された記事です。
あなたのための法令順守を楽しく学ぼう
わたしは訪販や通販などの流通業界を専門とする流通ジャーナリストで、すでに20年ほどのキャリアがあります。
この間、流通業界を巡るコンプライアンス(法令順守)の状況は劇的に変化しました。
ひと言で言って「厳しく」なったのです。
言うまでもなく、ネットワークビジネスを展開している皆さんにとって、これは重大なことです。
そこで改めて、コンプライアンスについて連載を開始するよう仰せつかりました。
皆さんと一緒に、楽しく学んでいけたらと思っています。
連載の目的は、ただ一つ。
皆さんの日頃のビジネス活動が、万が一にも法令を犯すといったことがないようにすることです。
皆さんが、安心して、気持ちよく、精いっぱいビジネスを拡大させていける環境を整える一助になればと思っています。
「法律違反なんてするわけがない」――そんな風に思っておられる方も多いかもしれません。
確かに私たちは、生きてきた中で、刑法などの条文を一つも勉強した記憶がありませんが、警察に捕まったりしたことはないと思います。
「普通に正しいことをやっていれば、法律なんて犯すはずがない」と思っておられるかもしれません。
ただ、ビジネスの世界はちょっと特殊です。
特定商取引法(特商法)や薬機法、景品表示法(景表法)といった法律で、さまざまなルールが設けられています。
「普通」に考えて正しいのではないかと思うことが、実は法律違反になったりすることもあるのです。
こんなことまで"違法"に!?
法律を知らないが故に、罰金を取られたり逮捕されたりするのは、わりに合わないと思いませんか。
そういったことがないよう、学んでいきましょう。
「普通」に考えて間違ったことをしていないように思えるのに、法令違反に問われるのは、たとえば次のようなケースです。
[1]「すごい人がいるからとにかく来て」と誘って、ビジネスセミナーに来てもらった。
これは、特商法の、「勧誘目的の不告知」という違反になります。
連鎖販売取引に誘う場合は、氏名・名称や商品の種類、勧誘の目的であることを事前に告知しなければなりません。
[2]「私の友だちが重い病気で困っていたんだけど、還元水を飲んだら治っちゃったの!」と実体験を語った。
これは薬機法違反です。
医療機器である還元水生成器で可能な訴求は「胃腸諸症状の改善」まで。
それを超えて効く・治るをうたった時点で薬機法違反と判断されます。
事実だからといって許されるものではありません。
[3]「世界ナンバーワンの素晴らしい還元水を一緒に飲み、組織を広げてみませんか」というチラシを作って近所に配った。
これは二つの意味で法令違反の恐れがあります。
まず、「世界ナンバーワン」をうたうならば、確固とした「合理的な根拠」が必要です。
「合理的な根拠」がないのに「ナンバーワン」をうたうと、景表法違反や特商法違反に問われることになります。
口頭で言う場合も同じです。
もう一つとして、特商法の広告規制に違反している可能性があります。
連鎖販売取引に勧誘する広告をする場合は、法律に決められたさまざまな事項(たとえば報酬プランの計算方法など)をその広告内に書かなければ違反になってしまいます。
これからも、こうした実際のビジネスの現場で生きる法令知識を順次ご紹介していきます。
コンプライアンスのお知らせ
- 2025年10月01日 コンプライアンス
- 新コンプライアンスシリーズ(Vol.01)
- 2025年09月02日 コンプライアンス
- コンプライアンス「Q&A」(第36回)
- 2025年07月30日 コンプライアンス
- コンプライアンス「Q&A」(第35回)
- 2025年06月30日 コンプライアンス
- コンプライアンス「Q&A」(第34回)
- 2025年06月18日 コンプライアンス
- コンプライアンス「Q&A」(第33回)
- 2025年01月31日 コンプライアンス
- コンプライアンス「Q&A」(第32回)