2025年11月28日
新コンプライアンスシリーズ(Vol.03)
新コンプライアンスシリーズ
危ないよ!それ知らないと
流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)
※2024年7月号に掲載された記事です。
断定的判断の提供、適合性原則違反など分かりにくい違反行為を解説する
最近は、特定商取引法に基づく、連鎖販売事業者に対する処分が減少傾向にあります。
業界の健全化の進展も背景にあるのではないかと思われます。
ただ、行政処分や警察の検挙などは、突然やってきます。
消費者庁も警察も、事前予告などしてくれません。いつ何が起こるか分かりません。
日頃から、「李下に冠を正さず(不正を疑われるような行いはしない)」という気持ちで、コンプライアンスに取り組んでおく必要があります。
そうした観点から今回は、FX売買ソフトの連鎖販売取引を行っていた、複数の個人事業主に対して23年7月に行われた業務停止命令(15カ月)の処分内容を確認しておくことにしましょう。
この事例は「違反のオンパレード」です。
[1]氏名等の明示義務違反(統括者の氏名、勧誘目的及び役務の種類の不明示)、
[2]断定的判断の提供、
[3]適合性原則違反、
[4]支払能力虚偽申告教唆、
[5]概要書面不交付、
[6]契約書面不交付――
の六つの違反が指摘されました。
もはや、法律を守ろうという意識が皆無だったのではないかという気すらします。
もちろん、この連載を読んでおられる賢明な皆さんが、ここまでの違反を犯すことはまずないでしょう。
ただ、聞いただけでは意味が分かりにくいと思われる違反事項も指摘されていますので、そこを解説しておきたいと思います。
[1]~[6]の違反の中で、分かりにくい違反事項というとまずは、[2]の「断定的判断の提供」でしょうか。
「断定的判断の提供」というのは、「確実でないものが確実であると誤解させること」を指します。
今回の事例では「一緒にやろうよ、損はしないから」「すぐに元が取れるから、借金しても何の問題もないよ」と言ってビジネスに勧誘したことが違反に問われました。
ビジネスは、儲かるかどうかを事前に確定的に言うことはできません。注意しましょう。
[3]の「適合性原則違反」も一見するだけでは何のことやら分からないでしょう。
「適合性原則」というのは簡単に言うと「相手方の知識、経験、財産の状況に照らして不適当な勧誘をしてはならない」ということです。
例えば、若年者や認知症高齢者に契約を勧誘すると、この違反に問われます。
今回の事例では、学生に対して約53万円という高額な契約の勧誘を行ったことが違反に問われました。
[4]の「支払能力虚偽申告教唆」も分かりにくいですね。
これは、貸金業者で借入をさせたり、ローンを組ませたりするに当たって、事実と異なる申告をするよう示唆する行為を指します。
今回の事例では「学生だと収入が低いから社員だと言って」「月収24万円だとすると年収288万円だから、切りよく年収300万円にしよう」などと虚偽申告をそそのかしていました。
軽い気持ちで行っても違反は違反。
間違っても違反が指摘されないよう健全にビジネスを進めていきましょう。
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